こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。
やっと緊急事態宣言が解除されたかと思ったら、また東京都ではウイルス感染者が増え、東京アラートが発令されました。テレビで聞いた識者の話だと、ワクチンが完成するまでの2年間ぐらいは、このように感染者が減っては増え、増えては減りということが繰り返されるとのことでした。なかなか通常には戻らないですね。
元国際通貨基金(IMF)エコノミストで、現在はドイツの金融大手のアドバイザーを務めるモハメド・エラリアン氏が、コロナショック後の世界経済を「ニューノーマル2.0」と呼んでいます(2020.5.29朝日新聞GLOBE+)。
エラリアン氏は、リーマンショック後の2009年に、今後の世界経済は、景気回復を果たしたとしても以前のような状態に戻らないとする「ニューノーマル」の概念を提唱しました。リーマンショックといえば世界経済に大打撃を与えた事件でしたが、今回のコロナショックは、それに匹敵する変化があり、また新たな世界に移行するということでしょう。
新しい世界においては、政府や企業が「リスク回避」と「レジリエンス」(困難な状況に直面したときに発揮できる強靱さや回復力)の管理に重きをおくような戦略に転換せざるを得ないといいます。
いまのコロナウイルスの終息の時期も見えないまま、さらに予測がつかない新たなウイルス蔓延等のリスクが増しています。世界経済も私たちの生活も、元に戻るのではなく、これまでとは違った形になっていくのでしょう。
そのような中、厚生労働省は「新しい生活様式」を提唱しています。ソーシャルディスタンスをとる、マスクをする、うがい・手洗い・消毒・検温をする等の感染予防策はもちろんのこと、買い物や娯楽、スポーツ、冠婚葬祭など私たちの暮らしの中の行動の変容を求めています。また、テレワークやローテーション勤務、時差通勤、オンライン会議など働き方の変化は一時的なものではなく、今後ずっと続けるスタイルになっていくと思われます。
一方、子どもたちの学びも、コロナショックで変わりました。STAY HOMEでも学べるようにオンライン学習を活用した学校もありました。セルフコントロールをしないと学びが進まないことを子どもたちも学んだと思います。多くの子どもたちが学校に行かないと友達と会えずに寂しいという思いを持ったことでしょう。
しかし、いざ学校が再開されると、学びのスタイルが元に戻ってしまいそうです。世界は変わっています。生活スタイルも変化しています。しかし、学校だけがまた元のやり方に戻ってしまうような気がしてなりません。
この間、先生も生徒もICTやEdTechを活用した学びの有効性を感じました。学校は生徒たちが集まって学ぶ協働学習の場であることを改めて知ったと思います。そして、何より学びには主体性が必要で、自立した学習者にならないといけないということを痛感したと思います。
今後、コロナウイルスだけではなく、インフルエンザやO157などの感染症の流行、地震や台風、大雨などの天災、交通網の麻痺等、安全に学校に通えない事態が訪れることは大いにあります。高校や地方の小中学校では、夏の暑い日や雪が降る寒い日でも長時間かけて苦労して通っている子がいます。
これまでの、学びのスタイルに戻るのではなく、「新しい学習様式」に変えていかなければなりません。
-ICT環境の整備とEdTechのフル活用を
-教室ではなくても学べるスタイルの定着を
-子どもたち一人ひとりに合わせた学びを
-子どもたちが集まる教室では探究的で協働的な学びを
-何より、自立した学習者を育てる学びを
そのような学びができる「学校のニューノーマル」が定着することを願っています。