こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。

いまChatGPTが話題になっています。
ChatGPTとは、オリジナルの文章を生成できる対話型の人工知能です。こちらが何か質問を打ち込むと、それに回答をしてくれます。

例えば、テレビ朝日の情報番組で紹介していたのですが、「日本でおすすめの観光地はどこですか?」と質問を入力すると、「日本は観光地がたくさんありますので、それはお客様の興味によってことなりますが、いくつかの人気の観光地を紹介いたします。①東京:日本の象徴的な都市で、多様な文化、高級レストラン、ショッピング、エンターテイメントなどがあります。②京都:歴史的な建造物や庭園、美しい神社や寺院などがあり、伝統的な文化を楽しめます。・・・」と、割と的確な答えを返してくれます。
このAIさん、Google社だったら年収2420万円で採用するという実力の持ち主だそうです。かなり物知りさんですよね。

で、何が話題になっているのかというと、学校がこのアプリの使用を禁止するかどうかです。
それなりに的確な答えを出すので、テストでカンニングできてしまったり、そもそも学習しなくなってしまうというのです。
オーストラリアの某州や米国ニューヨーク市では、既に学校からのChatGPTへのアクセスを禁止しているそうです。早晩、日本でも「禁止」の二文字が登場しそうな気がします。

私個人的には、利用を禁止するのではなく、むしろChatGPTをどのように使ったら学習効果の向上につながるかを考えるべきだと思っています。AIはネット上などに転がっている知識・情報をうまく編集しているだけです。もし人間の学びがそれだけのことならば、いずれ人間の能力をAIが上回ってしまうでしょう。人間が学ぶべきことは、ある一定の知識を組み上げたものから、批判的に思考し意味を吟味したり、新しい知識を生み出したり、新たな課題を見つけ出したり、他人に伝わりやすい表現を考えたりすることです。だから、そもそもChatGPTで回答できてしまうような授業やテストをすること自体が間違っています。

その点、シンガポールの教育省の考え方は参考になります。シンガポールでは、「ChatGPTのようなAIの学校での利用を後押ししながらも、同時に学生がAIに依存することなく、そのような技術の限界を理解するよう促す」といいます(CNET Japan)。

AIの進展は止められません。私たちはこのAIをうまく活用して自分たちも進展していかなければなりません。子どもたちの利用を禁止することは、この流れに逆行しているだけで、何の生産性もありません。臭いものに蓋をするような、怖いものを檻に閉じ込めておくような、その場しのぎの対策だけでは、未来はおぼつきません。

学びの場でも、AIとうまく付き合っていく方法を考えていきましょう。