こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。
先日、小さな扱いの報道がありました。全国的には知られていないニュースですが、地元の方々にとっては大問題です。
こんなニュースです。
――――――――――――――
九十九里浜 消失の危機【海岸浸食】
九十九里浜は、旭市からいすみ市にかけて広がる全長約60キロの砂浜だ。県内有数の観光地で、2020年東京五輪で追加種目に決まったサーフィンの会場となる見通しだ。その砂浜が今、消失の危機に直面している。
(中略)
九十九里浜は、北端にある屏風ヶ浦(銚子市、旭市)と、南端にある太東崎(いすみ市)が波で削られ、その土砂が堆積して形成された。しかし、県は1960年代以降、屏風ヶ浦と太東崎の浸食を防ぐため、それぞれの沖合に消波ブロックを設置した。この結果、土砂の供給が減り、砂浜は縮小した。地下水のくみ上げによる地盤沈下も拍車をかけ、九十九里浜に30か所以上あった海水浴場は、2008年度までに12か所が閉鎖に追い込まれた。
(後略)
Copyright © The Yomiuri Shimbun
――――――――――――――
千葉の九十九里浜といえば、長く続くきれいな砂浜で有名です。こんなことになっているなんて、全然知りませんでした。
このニュースで私が気になるのは、砂浜の危機を引き起こしているのは、50年前からの人為的な理由だということです。
おそらく何千年も何万年もかけて自然に作られてきた美しい地形が、たった50年で壊されてしまったのです。
屏風ヶ浦や太東崎の侵食を防いだのは、近隣住民の安全や国土の保全を考えてのことでしょう。当時としては正当な理由で消波ブロックを設置したのだと思います。
その時、将来、九十九里浜の砂浜を失うことになるリスクを認識できていたかどうかは分かりません。
しかし、いずれにしても、人間が人間のために行った地形改造であったことは確かです。
それが理由で、地域の重要な観光資源である砂浜を失い、良質な漁場も失いました。
県は、現在、砂の流出を防ぐための人工岬「ヘッドランド」の設置や外部からの砂を供給する「養浜」といった対策の実施を検討しているようです。
またしても、何か人工的に作ってしまうのです。はたして、それが将来への影響力をどの程度考えたものなのか私には分かりません。せめて、目先の(人間の)利益だけで軽率に行動しないことだけを祈ります。
学校で環境問題を学ぶ時、世界的な大きな問題もいいですが、こんな身近な問題を取り上げてみてはいかがでしょうか。
ところで、九十九里浜が3分の1の規模になったら、三十三里浜になるのかなー。
すみません、不謹慎で。