こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。
いまから130年前の雪の1月、人口1万5千人にも満たない札幌に、女子のための小さな学校が誕生しました。校舎は北海道庁から借り受けた厩舎を改造したもの、場所は北1条西6丁目の南西の角地。いまは大きなビルが建っています。教師の名はアメリカ人女性宣教師サラ・スミス、生徒は彼女が函館から伴ってきた7人の少女たち。北星学園の始まりです。本当に小さな出発でした。
これは、「サラ・スミスと女性宣教師~北星学園の築いた人々」という本の冒頭からの引用です。先日、北星学園130周年記念式典に出席した際にいただいたものです。
式典は札幌市にある北星学園女子中学高等学校スミス記念講堂で行われました。キリスト教主義の学校だけあって、パイプオルガンの演奏による讃美歌に始まり、讃美歌に終わるような荘厳な式典でした。
130年前といえば明治20年。屯田兵が北海道に入り開拓を始めたのが明治8年ですから、それからまだ間もない頃に、札幌にキリスト教主義の女子校が設立されたのは驚くべきことです。
戦時中の昭和15年にはアメリカ人教師は帰国を余儀なくされ、学校存続の危機にも見舞われました。しかし、それも乗り越え、現在では、中学校1校、高校3校、大学、短大、大学院を擁する総合学園に成長しました。創立以来の教職員や関係者のみなさまに敬意を表したいと思います。
この日は、式典のあとに記念講演会も行われました。講師は淀川キリスト教病院理事長の柏木哲夫さんでした。この方は日本で初めてホスピスを開設されたことで有名で、これまでに2,500人もの患者さんを看取ってきたとのことです。
色々と含蓄のある良い話をしていただきましたが、中でも印象に残っているのが、「人は生きてきたように死んでゆく」というお話です。「生き様」が「死に様」にも表れるのですね。
そして、柏木さんがおっしゃる「良い生き方」の3つの要素は、「感謝する人生」「散らす人生」「ユーモアのある人生」だそうです。
「感謝する人生」「ユーモアのある人生」というのは分かりやすいですが、「散らす人生」とはどういう意味でしょうか。柏木さんによると、自分のお金や時間や情報などを他人に惜しみなく散らすような生き方だそうです。自分がため込むのではなく、人に与えるような人生をしている人は良い人生を送っているということですね。肝に銘じておきます。
柏木さんが過去に看取った多くの人の中で、もっとも醜い死に方をしたのは、税務署長さんだったそうです。人生ずっと、散らさず集めてきましたからね。
もちろん冗談でしょう。ユーモアが大切ですから。