こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。

今回から7回シリーズで「子どもの学びを変える7つのキーワード」というタイトルで原稿を書こうと思います。これは、自身が2021年11月に行った私学マネジメント協会定例セミナーの講演の内容の一部を文章化したものです。

学力という目に見える成果を出すためには、実は目に見えない「非認知的」な要因が大きく作用しています。ただひたすら国語や数学の学習時間を増やしても学力は向上しません。その背後にある非認知的な要素に目を向けて、キーワードを紹介していきたいと思います。

第1回目は「成長マインドセット」です。
成長マインドセットとは、「自分は努力すれば成長することができると信じる心構え」のことです。

中学校や高校に入学する時点で、これがある子とない子がいます。つまり、「自分は努力しても成長することはできないと思っている」生徒がいるということです。こうしたマインドセット(思い込み)があると、資質・能力向上の妨げとなりますので、成長マインドセットに変えていかなければなりません。

似たような言葉に「自己肯定感」があります。こちらは、「自分の存在には価値があると思う」「ありのままの自分を肯定できる」というものですので、もう少し広い意味で使います。

生徒を成長マインドセットに変えていくために、生徒指導に意識的に次の2つのことを取り入れていきましょう。

1)結果ではなくプロセスを重視する

成長マインドセットがない生徒はなかなか結果を出せません。そして、そのことで非成長マインドセットをより強固にするという悪循環に陥ってしまっています。なかなか結果が出せない生徒には、プロセスを認める指導をしましょう。まずは「努力した」というプロセスを認めてあげるのです。「努力をしようと思ったら努力はできた」ということから始めるのです。
得意なこと、好きなことから始めればよいと思います。好きなことなら努力をすることはできるでしょう。そこから始めて広げていきましょう。

2)小さな成功体験を積む

次の段階は、努力したことで小さくても成果が出たのであれば、それをきちんと認めてあげるということです。テストの点でいえば、70点が合格点であっても、前回20点だった生徒が30点になっていれば、十分成功したと言えます。この小さな成功を認めてあげましょう。その繰り返しで、30点が40点に、40点が50点に、と積み重ねていけば、成長マインドセットが身につきます。成長マインドセットが身につけば、どこかで急に伸びる時がきます。自分で伸びた実感が湧くようになったら、もう大丈夫です。

子どもの学びを変えるキーワードの一番目は「成長マインドセット」でした。いかがでしょうか。マインドセットという目に見えないことですが、こういったことから意識的に変えていきましょう。それが目に見える学力や資質・能力向上への近道です。

第2回は「グリット」を予定しています。次回もお楽しみに!