こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。

シリーズ「子どもの学びを変える7つのキーワード」の2回目です。今回は「グリット」という言葉を取り上げます。

学力という目に見える成果を出すためには、目に見えない「非認知的」な要因が大きく作用していると前回お話ししました。その要素として大きいのが「グリット」です。

グリットとは、簡単に言えば「やり抜く力」です。
この言葉を世に知らしめたペンシルベニア大学のアンジェラ・ダックワース教授は、「粘り強く取り組む『情熱』と、困難や挫折に負けずに努力を続ける『粘り強さ』がそろっていれば、誰もが目標を成し遂げられる」と言います。(A.ダックワース著「やり抜く力 GRIT」2016)

グリットは、英語ではGRITですが、Guts(ガッツ):困難に立ち向かう「度胸」、Resilience(レジリエンス):失敗しても諦めずに続ける「粘り強さ」、Initiative(イニシアチブ):自らが目標を定め取り組む「自発性」、Tenacity(テナシティ):最後までやり遂げる「執念」の頭文字をとった造語です。
つまり、これらの要素を備えていれば、目標を成し遂げることができるということです。

これを子どもの学びに置き換えてみましょう。新しいことを学ぶということは、子どもたちにとって、とても困難ことです。新しいことに出会い、それを正しく理解して、他の知識と結び付け、そして覚え、使えるようにする。この営みを繰り返し、繰り返し継続する。そこには「度胸」「粘り強さ」「自発性」「執念」がなければ成し遂げられません。

ダックワース教授は、グリットを身に付けるためには、①興味があることに打ち込む、②失敗を恐れずチャレンジし続ける、③小さな成功体験を積み重ねる、④グリットがある人のいる環境に身を置く、ということが必要だと言います。

探究学習やPBL型学習などにおいて、自ら課題を発見し、その解決策を試行錯誤して追い求めていく、そのような学びが必要なことがよく分かります。
そして、大事なのは「グリットがある人のいる環境に身を置く」、つまり生徒のグリットを育てるためには、教師もグリットを持たなければならないということです。肝に銘じておきましょう。

次回、第3回は「学習方略」を予定しています。次回もお楽しみに!