こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。
3月になりました。首都圏はまだ緊急事態宣言下ですが、少しずつ暖かくなってきて気分も春めいてきました。早く新型コロナウイルスの感染が終息して、どこかへ遊びに行きたいなー。そんな気分にもなりますね。
さて、今週、広島県のある私学で教員向けの講演をする関係で、改めて「深い学び」について考えを整理しました。
中学校は今春、高校は来春から、新しい学習指導要領が適用されます。今回の新しい学習指導要領の最大のテーマは「主体的・対話的で深い学びの実現」です。「主体的な学び」や「対話的な学び」は比較的容易にイメージができるのですが、「深い学び」と言われて、きちんと定義できる人はあまりいないと思います。
でも、逆の「浅い学び」と言われると、なんとなくイメージできるかもしれません。表面的な知識だけを得るような学び、知識を単体で丸暗記するような学び、でしょうか。
そうなると「深い学び」は、他の知識と関連付けて深く理解して活用できるように知識を身に付けるような学び、といったところでしょうか。
私は、「深い学び」には、2つの方向性の「深さ」があると考えています。1つは、「知識の構造化軸」です。そして、もう1つは「活用・探究軸」です。
「知識の構造化軸」というのは、「知識習得」という段階においても、知識を単体で習得するのではなく、既習知識と関連付けて概念化したり構造化して習得するという方向性です。単体で頭の引き出しにしまった知識は、いざ使おうとした時に引き出しにくいものです。何らかの文脈の中で覚えた方が、使いやすいということです。
一方の「活用・探究軸」というのは、学びの次元を「習得」だけでなく、「活用」「探究」の次元に引き上げるという方向性です。「習得」は知識を身に付けることだけを意味していますが、「活用」はその知識を使いながら学ぶことを意味し、「探究」は問題発見や問題解決の過程を通じて学ぶことを意味しています。
知識は覚えているだけでは意味がなく、何らかの問題解決に活用してこそ意味があります。つまり、「習得」だけでは終わらず、必ず「活用」「探究」の次元があるのです。大人の学びは、まさに「探究」です。仕事をする上での問題を解決することが大人の学びなのです。
学校で習得的な学びだけしか経験していないと、大人になってから困ります。
つまり、「深い学び」とは大人の学び方です。子どもの頃は、まだ知識が圧倒的に少ないですから、「習得」に力を入れるのは分かるのですが、その「習得」を効果たらしめるのは「知識の構造化」であり、大人の学びに近づけるためには徐々に「活用」「探究」という学び方の比率を増やしていかなければならないのです。
「主体的・対話的で深い学び」と言われると、すべてをそういう学び方にしなければならないように思ってしまいがちですが、深い海に潜るにも、まず浅い所で練習してから徐々に深く潜っていくように、徐々に進んでいけばいいのです。
ですから、「深い学び」は小学生段階では「知識の構造化軸」を深めていき、中学生ぐらいから徐々に「活用・探究軸」を深めていくという進め方がよいと思います。
だいぶ長くなりましたので、今日はこれぐらいにして、また別の機会に「深い学び」について探究していきたいと思います。ではまた!