こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。
ちょっとマニアックな話になりますが、学校のICT化にあたってはとても重要な話なので、暫しお付き合いください。
そもそも、学校においては、授業目的であれば、その必要とされる限度において、著作物を複製することができるという法律がありました(著作権法第35条)。つまり文学作品などをコピーして授業で配っていいということです。
一般には、このような行為は、著作権者に許可をとらなければできないのですが、公共に資する教育目的なので、大目に見てもらうという法律があるわけです。
この度、この著作権法第35条が改訂されました。そのことによって、授業目的の公衆送信においても、いちいち著作権者に許可を取らなくても、著作物を利用することができるようになりました。
どういうことかと言うと、インターネットを通じてオンライン授業を行う場合に、著作物のデータを送信してもよいということです(それまではダメだったんですよー)。
ただし、あらかじめ一定の補償金を払っておく必要があります。
その補償金の金額は、1人1年あたり、小学生は120円、中学生は180円、高校生は420円です。補償金を支払うのは、学校設置者、つまり公立なら市町村などの自治体、私立なら学校法人です。中学生500人、高校生1,000人在籍する学校法人であれば、年間63万円の負担です。
小さくない額ですが、これを払っておけば、オンライン授業が心置きなくできるということです。
2020年度はコロナ禍のこともあり、特例で無償にしましたが、2021年4月からは上記の補償額で運用するとのことです。管轄は文化庁ですが、授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS、サートラス)という機関が事務運営するそうです。
どういう場合が対象になって、どういう場合は対象にならないの?
というような疑問があると思います。ここには詳細に書ききれないので、SARTRASに問い合わせるか、ホームページをご参照ください。
https://sartras.or.jp/
また面倒くさいことが増えたなーと思うでしょうが、私はこれは大事なことだと思います。
小説家などの著作権者は本を売るなどの対価を得ないと活動が続けられません。勝手にコピーされたらたまったものではありません。
一方で、学校教育において、これらの著作物を扱うたびにいちいち許可をとるなんて現実的ではありません。面倒くさくて使わなくなると、それはそれで文化の伝達ができなくなり、子どもたちの教育の質に影響が出ます。
そこで、使用者と著作権者の権利のバランスをとって生まれたのが、このような制度なのでしょう。細かくはよりよい方法があるのかもしれませんが、趣旨は賛同します。
きちんと学んで、的確に運用していきましょう!
あれっ⁉︎ なんだか文化庁の回し者のようになってますね。