こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。
今年1月に発表された中教審の「令和の日本型学校教育」答申のメインテーマは「個別最適な学びと協働的な学び」です。中教審の答申は今後の教育の方向性にとても影響がありますので、先生方はぜひ目を通しておいてください。
協働的な学びについては本ブログでも何度か扱ってきていますので、今回は個別最適な学びについて触れてみたいと思います。
個別最適な学びとは、児童・生徒一人ひとりの理解状況や能力、適性に合わせて個別に最適化された学びのことをさします。(詳しくはこちら)
もちろん、このことはとても大事なことですから、いま急に出てきた考え方ではありません。個別最適な学びは、これまでも2つの言葉で言い表されてきました。すなわち、「指導の個別化」と「学習の個性化」です。私はこれらを「アダプティブ・ラーニング」(学習方法の個別最適化)と「パーソナライズド・ラーニング」(学習内容の個別最適化)と呼んでいます。
子どもは一人ひとり理解や定着のスピードや正確性が異なります。その進度や到達度に合わせて、学習方法や教材、学習時間などを柔軟に対応しなければなりません。また、一人ひとり学び方の特性が異なります。何度も書くことで覚える子、音読すると覚える子、何かに関連付けると覚える子、と知識定着だけをとっても様々なタイプの子どもがいます。このような学習方略も含めた学び方を一人ひとりに合った方法にするのがアダプティブ・ラーニングです。
かなり力量のあるベテラン先生であれば、40人学級でも一人ひとりの学び方の特性に合わせて授業ができるかもしれませんが、一般的にはかなりハードルは高いです。だから理想として指導の個別化が語られても、なかなか実現できなかったのがこれまでです。
しかし、いま条件が大きく変わりました。それは児童・生徒一人に一台のタブレット端末が与えられたということです。ICTを最大限に活用できる環境が整ったのです。
AIを搭載したタブレット学習教材は、子どもの理解度に合わせた出題をすることが可能です。そして、その学習の様子(どの問題でつまづいているか、どれぐらいの時間をかけているかなど)は学習ログとして蓄積され、随時先生が見ることができます。それをもとに個々に学習方法のアドバイスをすれば、かなり個別最適化された学習が可能になります。
このように、学習方法を個別最適化することで、皆が一定の基礎学力を身に付けるという「共通性の確保」ができます。
一方で学校教育においては、一人ひとりの興味・関心やキャリア形成を踏まえた「多様性への対応」が必要です。発展的な学習を求める子もいると思いますし、児童・生徒一人ひとりが自ら課題を設定して探究的な学びをすることも望まれます。このような学習内容を個別に設定できるパーソナライズド・ラーニングにも、ICTが活用できます。タブレット教材は発展学習にも対応していますし、調べる、まとめる、発表するといった探究に必要な活動には一人一台のタブレット端末は大きな威力を発揮します。
かつて理想として語られていた個別最適な学びは、いまやICT化の進展で実現可能になっているのです。
皆さんもICT活用について精通して理想の学びの実現を志向しませんか。
2021年7月20日開催の「個別最適な学びをいかに実現するか」というタイトルのオンライン・セミナーに私も登壇します。参加無料ですので、ぜひご参加ください。
セミナーの詳細はこちら