こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。

新型コロナウイルス感染症の影響で5月まで休校を余儀なくされる学校も多くなりました。

小中学校にとっては新年度のスタートダッシュはとても大事です。出鼻をくじかれた思いの先生はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

このような中で俄然注目を集めているのがe-learning(イーラーニング、主にインターネットを利用した学習形態)です。

学校に集まって授業ができないのであれば、ICTを活用することで、児童・生徒が自宅にいながら授業を実施してしまおうということです。学校によって方法は様々です。児童・生徒がパソコンやタブレット端末で学習アプリを使って自習する、学校の先生がオリジナルに作った動画を配信して児童・生徒がそれを見て学習する、複数の児童・生徒と先生が同時双方向に交信ができるアプリを使って疑似授業を実施するなどです。

いずれにしても、うまくe-learningが実現できた学校はそれほど多くはありません。実現できた学校とそうでない学校を分けた違いは何でしょうか。それは、これまでにICTを活用していたかどうかです。緊急休校になったからという理由で急に準備し始めても、直ぐには対応できません。児童・生徒側の環境整備も課題がありますが、もっと大きな原因は学校側の環境整備および教員のスキルが壁になって直ぐに対応できないのです。

◆GIGAスクール構想とは何か

「Society 5.0 時代に生きる子どもたちの未来を見据え、児童生徒向けの1人1台学習用端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する」

これは、2019年度に政府から打ち出された「GIGAスクール構想」のポリシーです。2019年12月には補正予算として2,318億円もの予算が盛り込まれ、政府の本気度が分かります。2020年度には、希望する全ての小・中・高等学校、特別支援学校の校内LAN整備を支援するため、整備費用の2分の1を補助することを打ち出しています。そして、2023年度までには、小中全学年で1人1台の学習者用端末の導入を実現する計画で、1人あたり最大4.5万円の補助金を支給することになっています。

今回の緊急休校騒ぎで、学習用端末の必要性が強く認識され、5年かけて整備する予定だった1人1台学習用端末の計画を前倒ししようという議論も出ているそうです。これが実現すれば、今回のような緊急の休校の時でも慌てずにe-learningが実施できるかもしれません。

◆GIGAスクール構想を活用して何を目指すのか

さて、GIGAスクール構想の「GIGA」は最初私も誤解していましたが、通信速度などで使うギガビットの意味ではありません。「Global and Innovation Gateway for All」の略だそうです。「誰一人取り残すことなく子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現に向けた施策」というコンセプトを表しているとのことです。

子どもたちの学びを中心に考えると、「個別最適化」と「創造性」がキーワードになると思います。私はここに「主体的・対話的で深い学び」の実現をキーワードとして追加したいと考えています。

ICTの導入は、機器を整備することが目的ではなく、あくまでも子どもたちの学びの効率や効果を上げることです。そして、そのための教員の負担の減少が次の目的です。

自治体として、学校として、GIGAスクール構想にともなう予算を活用して、いかに子どもたちの学びを高度化できるか、教員の負担を軽減できるか、そこがとても大切なポイントです。

◆GIGAスクール構想を活用した学びの高度化を実現する要因

予算を活用して校内LAN環境と1人1台学習端末を得たとしましょう。さて、それをどう子どもたちの学びにつなげますか。

そのビジョンが明確になっていないと、この構想はきっと失敗に終わります。モノだけ溢れて、でもうまく活用できない。子どもたちの学びには何も効果を為さない。過去にもそんな政策がたくさんありました。

全国的にそんな状況になっても、自分の市町村だけは、自分の学校だけは成功に導きたい。そんな気持ちをお持ちの方は、添付したPDFファイルをお読みください。

GIGAスクール構想を活用していかに子どもたちの未来を切り拓くか

◆いかに児童・生徒の学びの高度化を実現するか

その成功の要因は次の3つです。
① 機器整備前にビジョンを策定する
② 機器は学びの視点から選定する
③ 現場で利活用する教員のスキルを上げる

詳しくは、PDFで。