こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。
夏の甲子園高校野球大会の熱戦が続いています。49の代表校は一通り登場し、いま2回戦を戦っているところです。どこが優勝してもおかしくない強豪揃いの今大会。8月23日に決勝が行われ、優勝校が決定する予定です。
今夏の大会のスタートを切った選手宣誓は、北北海道代表の滝川西高校、堀田将人主将が行いました。
「幼いころから真っ白なユニホームが真っ黒になるまで練習し、真っ白なボールを真っ暗になるまで追いかけてきた全国の高校球児の思いを胸に、最後まで諦めず、正々堂々と全力でプレーすることを誓います!」と堂々と宣誓しました。
今年の選手宣誓の言葉の特徴は、代表として甲子園に来ているチームだけでなく、代表になれなかった人たちも含めて全国の高校球児を代表して述べたことです。「監督やチームメートと一緒に考えた」という宣誓文は、予選で戦ってきたチームへの感謝や敬意も込めた素晴らしいものでした。
ところで、少し年配の方は、近年の甲子園の選手宣誓が多様化していることにお気づきだと思います。実は、1980年代前半までは、ほぼこの宣誓文で宣誓が行われていました。
「宣誓。われわれ選手一同は、スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と闘うことを誓います!」
ところが、1984 年の夏の大会でなされた福井商業高校野球部主将の選手宣誓が口火となって、宣誓内容が画一的なものから多様なものへと変わりました。(※陣内正敬「高校野球・選手宣誓の時代性」2011年)
その宣誓が以下のようなものでした。
「宣誓。われわれ選手一同は、第66 回全国高等学校野球選手権大会に臨み、若人の夢を炎と燃やし、力強くたくましく、甲子園から大いなる未来へ向かって、正々堂々、闘い抜くことを誓います!」
1984年に高校3年生といえば1966年生まれ。いわゆる「新人類」と呼ばれた世代です。
戦後すぐに生まれた「団塊の世代」は、がむしゃらに生き、働き、日本の高度経済成長を先導してきました。その後に生まれた世代は学生運動も落ち着き、政治的無関心が広がった「しらけ世代」と呼ばれている人々。そして、その後に続くのがこの「新人類世代」。
この世代は、「従来とは異なった感性や価値観、行動規範を持っている」と言われた世代だけに、高校野球の宣誓でも新たな価値観で従来の慣習を打ち破ったのでしょう。まさに新しい時代を切り開いた「新人類」です。
しかし、この世代が大学生になる頃にはバブルが訪れます。就職では空前の売り手市場。入社してからも若手の意見が通りやすかったため、勘違いする若者が多かったとも言われています。
その世代も現在は50歳代になっています。従来とは異なる感性や価値観で日本経済を引っ張っていってほしいものです。
という私も、まさにこの世代ですけど。