こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。
先週の土曜日(2018年10月27日)、玉川学園で「第7回探究型学習研究会」が開催されました。今年のテーマは「統計的思考力を生かした探究プロセスの開発」です。
玉川学園では、8年生(中学2年生)の数学で「データサイエンス」という単元を設定し、20時間の授業を行ったそうです。主にデータをどのように解釈し、探究活動に用いるかを学ぶ授業です。
もともと玉川学園では、9年生で「学びの技」と称する探究学習を行っており、ここでの探究活動の質を上げるためにも、8年生で統計の基礎を学ぶ授業を行ったとのことです。
小学校で2020年度(中学2021年度、高校2022年度)に導入される新しい学習指導要領では、探究学習を重視する教育課程となっていますが、同時に統計教育も充実させようとしています。
今回の研究会で基調講演を行った愛知教育大学の青山和裕准教授によると、小学校算数に「データの活用」領域が新設され、中学校でもこれまで中2で扱っていた統計的確率が中1に移行され、これまで高校の数学Ⅰで扱っていた四分位数・箱ひげ図が中2に移行されてくるとのことです。
このように統計教育を充実させる学習指導要領にする背景には、IoTや人工知能の発展によるビッグデータ解析やデータサイエンスの必要性が高まっているという社会的な状況があります。日本国内ではデータサイエンティストが5,000名不足していると言います。滋賀大学や横浜市立大学にデータサイエンス学部が新設されるなど人材養成機関の充実も進められていますが、まだまだ焼け石に水です。
これからの社会を考えると、初等・中等教育において、「プログラミング教育」とあわせて「統計教育」もより一層充実させていかなければならないと思います。
コンピュータや人工知能を操り、主体的に思考・判断できる人材の育成が急務です。逆に考えれば、そのような知識やスキルを身に付けていれば、引く手あまたで、就職では絶対に困らないでしょう。学校の魅力増加のためにも、「統計教育」の充実を考えてみてはいかがでしょうか。
探究学習の充実には図書館の機能がとても重要(写真は玉川学園のMMRC)