こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。
先日、私学マネジメント協会のセミナーで、立教大学経営学部教授の石川淳先生の講演を聞きました。テーマは「シェアド・リーダーシップ」です。
石川先生は、教員組織の中で、いかに先生一人ひとりがシェアド・リーダーシップを発揮するか、という文脈でご説明いただきましたが、私は中高における教育として、いかに生徒たちにシェアド・リーダーシップの考え方を理解させるか、という文脈で話を聞いていました。
「リーダーシップ」と言うと、一般には、職場やチームを引っ張る力のことを言う場合が多いと思います。多くの人は「自分はリーダーなんてなれない」と思いがちです。
ところが、「シェアド・リーダーシップ」と言うのは、メンバーの間でリーダーシップをシェアするという考え方なのです。職場やチームの中で、特定の人が常にリーダーとなるのではなく、時と場合によってリーダーシップを発揮する人が替わるということです。
石川先生は、シェアド・リーダーシップの概念では、リーダーシップとは「職場やチームの目標を達成するために必要な他のメンバーに対する影響力」だと言います。
リーダーシップというと、周りの人を引っ張る強い力が必要だと思われがちですが、「影響力」と言えば、必ずしも引っ張るとか上に立つイメージはなく、誰でも発揮することができそうです。
生徒たちに置き換えて言えば、一人ひとりが自分の得意分野で班やチームに貢献することだと思います。
小学生や中学低学年のうちは、与えられた役割をこなすところから始め、中学高学年から高校生に向けて徐々に主体性を発揮してチームに貢献していく姿勢が育てば良いと思います。
こう言うと、クラブ活動や行事などでは既にそうなっているとおっしゃる先生が多いと思います。しかし大事なのは、そのことに教師も生徒も意識して取り組むことだと思います。クラブ活動や行事のように生徒が主体的に取り組むことが多い場面だけではなく、授業の中でも主体的にチーム(クラスや班)に貢献する姿勢を身に付けることが大切です。
こう考えると、アクティブ・ラーニングを行うためには、このシェアド・リーダーシップの概念がとても重要になってきます。
複雑性と不確実性が増す世の中において、一人のリーダーが組織を正しい方向に導くことは難しくなりつつあります。
組織を構成する一人ひとりが自分の強みを活かして主体的に貢献する。そんな組織がこれからの社会で勝ち残っていけるのではないでしょうか。
シェアド・リーダーシップこそが、これからを生きる子どもたちに必要なリーダーシップの概念だと思います。