こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。
連日、日大アメフト部の問題がマスコミで取り上げられています。
昨日、監督とコーチが記者会見を行い、さらに問題は大きくなっています。
まだ顛末が決まっていないので、この事件そのものについては触れませんが、この問題を違う視点から見てみようと思います。
※写真はイメージです
日本では、つい最近まで、新卒社員採用時に体育会系の人材を採りたいと言っている企業が多かったです。いや、今でもそう言っている企業が少なくありません。
それは簡単に言えば、命令すれば言うことを聞くからです。
体力があるとか、精神力があるとか、規律正しいとか、色々な理由をつけますが、要は命令服従だからです。上司が黒いものを白と言えば、白だと信じて進むからです。
監督が「反則行為をしなければ次の試合には出場させないぞ」と言うのと、上司が「悪事を隠蔽しなければ昇進はないぞ」と言うのは全く同じ構造です。
そして、実際には、こういう言葉で露骨に言うのではなく、組織風土として暗にプレッシャーがかかるのが通例です。目に見えないから厄介です。
近年は「自分で考えることができる人材がほしい」とか「創造力がある人材がほしい」と言う企業も増えていますが、いざそんな新入社員が入ってきたら、多くの組織では、上司は手を焼き、遠ざけるのです。「新人が御託を並べる暇があったら、俺が言ったことを早くやれ!」と言うに決まっています。
新しい学習指導要領では、主体性や創造性を大切にしていますが、本当に大丈夫でしょうか。いざ、そうやって育った子どもたちが社会人になって企業に入ってきた時に、日本の企業は受け止められるのでしょうか。
産業界から新しい時代に向けた人材要件を大学や高校に求めてきますが、先に変わらないといけないのは、産業界の方じゃないでしょうか。
大学(の体育会)は採用時に有利だから命令服従の学生を育てている訳ではないでしょう。ただ試合に勝ちたいのだと思います。
しかし、スポーツだって主体的に考えて自分の判断で動ける選手が多くいた方が強くなるのではないでしょうか。
日大アメフト部の場合は危機管理がお粗末で大問題に発展していますが、事件の根源にある組織風土の問題は日大アメフト部特有のものではなく、日本中の組織が抱えた病気だと思います。
戦後70年以上経っています。そろそろやめましょう、軍隊的な組織は。