こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

先週末、大学センター試験が終わりました。
今年は2018年問題などと言われるように、18歳人口が減り始める年なのですが、センター試験志願者は昨年より約6,700人増えたとのことでした。

今年のセンター試験で話題になったのは、「地理B」に出題された「ムーミン」の問題ですね。
北欧諸国をテーマにした問題なのですが、その中の1問が、
「次の図5中のはノルウェーとフィンランドを舞台にしたアニメーション、はノルウェー語とフィンランド語のいずれかを示したものである。フィンランドに関するアニメーションと言語との正しい組み合わせを、下の①~④のうちから一つ選べ。(アニメーションは「ムーミン」と「小さなバイキングビッケ」の挿絵)
というものでした。

選択肢の一方が「バイキング」(→ノルウェー)であることを考えれば、ムーミンの方がフィンランドだと分かる問題なのですが、この問題に不正解だった受験生たちがこぞってムーミンの公式ツイッターにクレームとも言える書き込みをしました
「絶対に許さない。今すぐ国籍をノルウェーに変えろ」
「マジでさ、なんでお前を知らないか知ってるかの問題を解かんといけないんだ??」
「センターに出てこないで!ムーミンに人生狂わされました許しません」

まあ、正直言って逆恨みも甚だしいのですが、これに対するムーミン公式アカウントからの返答が素晴らしかったです。
「まだまだ知られてないんだな、と反省、もっと知ってもらえるよう公式サイトもがんばります!これを機にムーミンの世界について知ってもらえると嬉しいな」

この神対応で、話は一旦収まったのですが、別のところでまた問題が発生しました。
ムーミンの舞台は架空の「ムーミン谷」という所なので、必ずしもフィンランドではないのではないか、という指摘です。
もちろん、原作者はフィンランド人のトーベ・ヤンソンなので、フィンランドが舞台であるとも推測できるのですが、必ずしもそうではないという説もあるのです。
そこに大阪大学大学院のスウェーデン語研究室が「『ムーミン谷』は架空の場所であり、フィンランドが舞台だと明示されておりません」と公開意見を述べたため、混乱に拍車がかかりました。

またまたネットでは「出題ミスではないか」「全員正解にして得点を与えろ」と炎上しました。

そんなゴタゴタに終止符を打ったのが、フィンランド大使館の公式ツイッターに公表されたコメントです。
「ムーミンはフィンランド生まれだけど、ムーミン谷はどこに? これを機会にムーミン谷を探しにオリジナルのお話を読んだり、フィンランドに旅してみてね!フィンランドにはムーミン博物館やお話に出てくるような自然もあるよ。ムーミン谷はきっとみんなの心の中にあるのかな😌」

こんな素敵な書き込みをされたら、クレームも言えなくなりますよね。

今回の問題の本質は、ムーミンを登場させるような粋な出題をしたのに、解答が選択式で答えるものであったことです。
考えた過程を答えさせたのであれば、出題ミスも何もなかったはずです。やはり、これがセンター試験の限界ですね。

また、この解答ひとつに目くじらを立てて論争する日本人の心の狭さにも問題があると私は思います。

いいじゃないですか。正解はあなたの心の中にあるんですから。
大目に見てください! ねぇ、ムーミン!!